水道直結工事、一石三鳥

4階まで水道を上げるポンプが音を上げ始め、時々故障。四半世紀以上頑張ってくれたエバラのポンプちゃん。

今回は、そのポンプを経由せずに、給水管と直結して、その役目を終えました。

一昔前まで、横浜市は近代水道発祥の地だけあり、上水道化率が非常に高い一方、その分、古い管が数多く、なかなか3階までの直結工事の許可が下りませんでした。
しかし、水圧を上げる試験を続け、時には磯子区でビルの高さまで噴水状態になるような、水道管破裂などを起こしながらも、他行政区に遅ればせながら、3階への直結工事の許可が出ました。

今では、水道使用量に対して、水圧が掛かることが証明されれば、5階までは直結可能に。

現地の給水設備(水栓)の容量を確認し、計算した上で、役所(第三者機関)に申請し、許可が下り、

お店が休みの時に、地下給水タンクがある地下入口のある店舗内の養生を。

お客様のために、1日で仕上げるために、日曜日に万全の体勢でのぞみました。

地下ピット入口。

予め開けて、確認しておきましたが、地下室に漏れ出してくる地下水で水が約70㎝の高さまで満水状態。地下水の排水ポンプも壊れていたため。

先ずは、送風機で酸素を送り込んで(酸欠死の恐れがあるため)、排水作業。

地下水とはいえ、汚れている可能性も考慮して、汚水枡にホースをいれて、排水(残水)ポンプで、排水作業。

案外と時間が掛かる作業です。

この時間も無駄にはしません。

鶴ヶ峰駅北口のメイン通り。

人通りが多い中、必要資機材をまとめて置いて、通行確保。

ご近所の方々にもご挨拶は欠かさず。

さて、工事らしい姿。

手分けして、こちらはハツリ部隊。

将来の再開発も絡んでいるため、予算を抑えるために、タイルを残しながら、モルタル仕上げの離れ業。

タイルさん、残したい部分まで壊れるなよ!

1階を直結。2階以上も直結。

想定内でありながらも、見積り以外の問題発生。

1階の一次側(止水バルブから水道メーターまでの経路)の水道管が、サビでボロボロ状態。よくも今日まで破裂せずにギリギリで生きていてくれました。

ということで、一次側も取替え。

2時間以上経過しましたが、まだこれだけの地下水が残っています。

長靴で作業を始めています。

またもや、想定内の問題発生。

長年、水が溜まっていたためか、地下室の蛍光灯、コンセント、その他が漏電状態。

急遽、電気屋さんの手配。
日頃、お願いしている4件目の電気屋さんで、やっと来てくれることに。江戸川の現場から。

こんなことは建築では良くあることで、の工事を後に回すと、お客様に悪いし、効率が悪いので、如何に緊急時に手伝って下さる業者さんを他に確保しているかが、【できる】【できない】の分かれ目。

同時に、地下室壁の外側の構造壁と、内部壁との間の地下水ピットから、これでもかという位の大量の水が噴出。

これも想定外の問題。

どうも、図面には無く、お客様も知らない何かしらの大きな空間が、あるようです。
【竣工図】が無いと、工事するまで解らないことでイッパイ。

ところが、ここで嬉しいことが。

長いこと眠り続けて壊れていた排水ポンプが、瞬間だけ生き返りました!

地下の釜場の水をグングンと吸い上げるは、すいあげるは!

自分(ポンプさん)の熱からか、水蒸気を吐きながら。


排水が終了した瞬間に、永眠してしまいました。

君が長い眠りから目を覚まし、最期の力を振り絞ってくれたことを、私達は忘れない。お疲れ様でした。

新規水道管を敷設し、ついでに壊れかけていた散水栓・撒水BOXもサービスで取替えてもらい、(水道屋さん、いつもありがとうございます)

砕石を入れてから、モルタル作業。

日が沈む前に、あともう一息。

一方の別部隊は、直結した水道管を2階以上の子メーターへ、邪魔にならないように迂回して、直結。

左官作業!

コテで押えて、時間をおいて刷毛引き仕上げ作業。

「なんだ!左官作業、メチャクチャ上手いじゃん。これからは水道工事業だけでなく、左官工事業もやられた方がいいよ」

〔それは、勘弁してよ。水道の道に生きたいから〕カッチョいい。

残りの地下水も汲み上げて。

地下水の流入も案外少なく、これで、しばらくは大丈夫でしょう。

これは、地下タンクの水を2階以上に圧送する壊れかけのポンプ。

お疲れ様でした。

撤去するのも費用が発生するので、このままこのビルと一緒に、安らかにお眠り下さい。

こうした機械も生き物のようで、愛おしく感じます。頑張ったね。

翌日には、モルタルも、踏めるほどになり、9時からの開店1時間前には、ご覧のように。

この給水直結工事で、一石三鳥とは、

1.直結により、ポンプを使わなくなり、電気代がゼロに。ポンプのメンテも要らない。
(ポンプ交換の3分の1から、4分の1程度で今回は工事できました。

2.受水槽内の清掃が義務づけられていますが、これが無くなり、費用ゼロに。

3.地下ピットが、万が一時のシェルター代わりに、また溜まってしまった水を濾過して使えば、緊急時用の水に。

※世界の政治情勢が、騒がしくなってきた今日この頃、地下室(シェルター)を作りたい方が増えています。