お仏壇の内扉、外扉の丁番。
真鍮(しんちゅう)製のようで、銅に発生する緑青(緑青)のようなサビが出ていました。
建具屋さんに、ほぼ同じ型の丁番を何とか探してもらい、全て取り換えるべく数を用意しましたが、
残念。ネジ部がナメっていて、どうにも取れない状態。
しかも、良く見直してみると、ネジが外れかけたのか、かなり強力に押し込んであり、丁番自体は曲がっており、下地の木部も変形していたため、その手法をサッサと諦めました。(お客様の大事なお仏壇を壊してからだと、謝って許されるものでないので)
そこで、考えた末に、【ピカール ネリ】
日の丸に青色の缶に入ったピカールは、車好きには必需品ですが、それではこの頑固なサビは取り切れない。さらに、ピカールは液状なので、仏壇本体に流れて、傷つけてしまう恐れあり。
(かつて、ピカールで吸排気性能を上げるため、エンジンのヘッドをかなり磨きあげた。一つ失敗したのは、ピストン・コンロッドまで磨き上げ過ぎて、高回転時の油膜切れで、エンジン一つをブローさせてしまいました)
わざと非力なエンジンで、長尾峠、ヤビツ峠の特に下りで、容赦なく高回転を維持しながら、アクセル・ブレーキを死ぬ気で踏み続けた日々・・・懐かしいな。
それにしても、このピカール ネリの缶、カッチョいいですね。
傷つけてはいけない箇所をマスキングして、ウエスで、ひたすら磨くのみ。
仏様の前で、自分自身を磨くように。
4月に冠婚葬祭業社に入社しただけあって、『ありがたいな・・』と言いながら、ひたすら集中。
今度、仏具部門の方に、このような場合の修繕手法を聞いてくれることに。
表の扉の装飾も、緑青がふいていたので、そこもピカールで磨いたら、他も綺麗になりました。
その後の写真を撮り損ないました。
私のウエスも、これだけ緑色になりました。つまり緑青(サビ)が取れました。
ピカール ネリ の存在を調べていたら、新たな発見。
Pikal(ピカール)の正式名称は、日本摩料工業株式会社。
大正時代から続く、古い会社です。
さらに、仏壇クリーム、仏壇クリーナーと用意してくれています。
懐かしかったのは、黄色と赤で時代を感じさせるデザイン缶で、ガラス磨きのグラスターゾルを、作っていた会社だったのですね。
オヤジの車のダッシュボードを開けると、いつも入っていたアレ!
フロントガラスの汚れ(テカリ)を、根こそぎ落とす凄いヤツ。久々に使いたくなってきた。
何はともあれ、この作業の間、ひたすら無心になり、我々の心の垢も落とせ、お客様にもお喜びいただいたので、お代はいただきませんでした。逆に、勉強させていただきました。