30年ほど前までは、外壁と言えば、モルタル系(リシン掻き落とし・リシン吹き付け・スタッコ吹付け等)や、トタン系が、当たり前でしたが、
湿式工法のモルタル系は、ヒビが目立ちやすい(施工不良によるところが多い)・手間が掛かり工期が長くなり、その分金額的にも高くなりやすい・左官屋さん不足・見栄えという点で、建築業界とお客様とのお互いの利益が合致して、一気に広まり今や、外壁と言えば、【サイディング】という外壁が、いつの間にか当たり前になってしまいました。
しかし、そのサイディング、逆にサイディング故に、お客様にとって悩ましい点も多々ある建材。
今回は、その筆頭となる悩み。塗装時期にはまだ早いが、シーリング(コーキング)の劣化が激しい。
塗装替えするには、まだ早い。でも、サイディングのジョイント部のコーキング(シーリング)が劣化して、ヒビだらけになってくると、『お客様の家、このままだと雨漏りしますよ』と脅しのような飛び込み営業によるひと言(実際には、その内部の透湿防水シートと、サッシ廻りの納まりがちゃんとしていれば、すぐには雨漏りしません)を、何度も聞かされ屈してしまう。
また、新築時はコーキングがむき出しで、紫外線・風雨による劣化が早く、塗装替えのタイミングと合いにくい。
サイディングメーカーが、色柄に合わせたコーキングを一緒に売ってくれますが、劣化速度が速いものが案外と多いという事実。
おまけに、厚み12mmばかりだったサイディングは、数年前に、彼ら自身が、厚み12mmだと、反りやすい、劣化しやすいという理由で、これまで売りまくった商品を否定するかのように、厚み14mm以上となり、値段も上がり、12mmは既に絶滅状態(販売中止)で、一部張替え時に段差が出来てしまう始末。
さらに、左官屋さんの仕事を奪ってしまった事により、左官屋さんも絶滅危機状態。
と、『サイディングメーカーは、上手いことやったな!』という感想を持ってしまう商品。
二段梯子による作業のため、梯子の角度がないと、倒れてしまいます。
そこで、お隣様にご協力いただき、その敷地内から梯子を掛けさせていただきました。
(世の中、非常に狭いことに、こちらのお方、私の姓〈小川名〉の大元出身の方でした。希少姓の小川名姓は下川井近辺を中心に数少なくいますが、学年が少し違うと、案外と初めて知る方も多いのが事実です。それにしても悪いことは出来ません。特に珍しい姓名のため、皆して、それは暗黙の了解となっております。一族に迷惑を掛けられないため)
少しだけ高所恐怖症(この建設業界、案外と多くいます)のため、私も安全性確認のために登りましたが、この脇に帷子川が流れており、高さ的には4階の床高ほどあり、やはり怖いものです。
ただ、この職人さんは、身体を二段梯子に張り付くようにしながら、スイスイと作業してくれました。
目地の厚みが浅いので、カッターで切れ目を入れ、、コーキングをするすると剥がしていきます。
二段梯子は、横にも転倒する恐れがあるので、両サイドからロープで、支持して安全第一で。(本音は足場が欲しい)
下部の方は、小さな二段梯子で作業。
(あっ、ヘルメットしてないじゃん。意外かも知れませんが、2m前後の高さからの転落・墜落による命の危険が非常に高い事実があります)
右側で梯子を押さえているのは、アルバイトの次男。
悔しい事に、私よりもお客様・職人さんへの気が利き、先を読む力もあるので、まだまだ負けないように、日々勉強しなければ。
ここの縦目地一本から出た、古いコーキング。
鉄骨ALC造や、大手ハウスメーカーさんのシーリングも打ち直している関係から、貧弱さを感ぜずにはいられません。
なるべく早いうちの塗装替えで、コーキングの劣化を防ぎたいところです。
凹凸のあるサイディングのため、それに合わせるように丁寧に、マスキングテープ張り。
コーキング打ち込み部分の両サイドを、マスキング張り。
この下地作りが手間ですが、これが完成時の良し悪しを決めるので、手間を惜しみません。
さらに、プライマー塗布。
一般の方々は、あまり使うことが少ない コーキング用プライマー(接着剤)。
コーキングで有名なシャープ化学工業のSHARPIE(シャピープライマー)P-50。
変成シリコン系、ポリウレタン系、ポリサルファイド系、アクリルシリコン系のコーキングに対応できる商品。
当然、F☆☆☆☆(フォースター・低ホルムアルデヒド)です。
こちら面も、同様にコーキングの打ち替え。
先ほどの妻側(三角屋根とも呼ばれ、屋根を切ったような切妻屋根・単純な形状のため、雨漏りが少なく、金額も安い)が、高いところまで作業しなければならないのに対して、軒先側は、高さが低いので少々ラクです。
ただし、歩行者に気をつけて、コーン(パイロン)を置いて、安全対策。
こうして、劣化している箇所だけ、コーキングの打ち替え完了。
コーキングヘラで、均す作業、マスキングを剥がす作業も、セオリー通りに。何事も基本に忠実に、それでいながら現場ごとの応用力で、恥ずかしくない作業をモットーに。