落下しそうな、ビルのタイルを

いたる建物で、タイルは落下しかけており、時としてそれは、【凶器】となり得ます。
ビルオーナー様は、『所有者責任』という名のもとに、いつ加害者となるか分からない。善良なる管理者としてのKY(危険予知)意識が、非常に重要となってきます。

鉄骨造ビル1階店舗の入口上部のタイル。

オーナー様自ら、落下しかけたタイルを強力なテープで保護されています。
(万が一に事故が起きた際に、危険を知りながらそのままにしておいたかどうかが問われる今の日本の法律。この努力は事故が起きないためにも、管理者としても重要な行為です)

すでに、水が廻ってきており、調査の結果も、タイルの下地(鉄骨)が、残念ながらボロボロに錆びている状態。元施工者は、雨仕舞と、鉄骨の厚みをもっと考えておけば良かったと思います。一応、伝えておきますが、鉄骨造(S造)と、外壁タイルの相性は極めて悪い事実があります。

先んじて、作成しておいた【製作受け金物】と、それの下地になるL型アングル。樋。

タイル落下防止と共に、仮にタイルが剥がれた際に、歩行者にタイルが当たらないように受けを。
工事の時間が限られているため、錆止め、塗装と、工場で先行。

取りついている看板を外そうとしたら、問題発生。

看板の裏板に、ビッチリとコーキング。
ビスを外しても、取れない筈です。

そこで、すぐに方針を変換して、少々大変ながらも、看板本体を浮かせながら、そこへ【受け金物】を入れ込んで、表面は、看板裏板ごと、アンカーを打ち込むことに。

一つ一つ施工が違う建物ばかりの「現場」では、この際の「議論・提案・決断」を即座にして、お客様に報告して、決定を促さざるを得ません。(オーナー様と連絡が取れない際は、こちらで責任を伴って決断・そうしないと工事が時間内に終わらない。職人さんも無駄な時間を過ごしてしまう)

また、ご覧のように、前面道路は片側通行・上へ登る道は、ガス管埋設工事のために通行止めの工事が、この日から始まりました。

オーナー様が万が一のことを考えて、駐車スペースを確保してくれていた点、こちらもその工事業者さんよりも、早く陣取っていたために、この日は、こちらのスペースを確保して、歩行者・自転車を通すルートを、彼らと打合せし、大きな影響が出ませんでした。
(コインパーキング同様に、早い者勝ち)

タイルの外壁面内側の吊りボルトがシッカリ効いている天井に、L型アングルを確実に止め、それを隠すように【受け】を結合させます。

外壁外側は、看板内部で、【受け金物】ごと、ビスを止めて、僅かな浮き部分と、精巧に、木造でいうところの、『腰かけ鎌継ぎ』のような継ぎ手とを、シール。

シーリング(コーキング作業)は、あくまでも補助的なもので、基本的にはシール無しでも問題ないものに。

それにしても、指導しているのにヘルメット被らないな。もっと厳しくしなければ。彼らの為にも。

現況のタイルに馴染むように、自然にタイル落下防止 兼 雨樋 を、作成できました。

ここへ溜まった、雨水(絞り水)も、竪樋にさりげなく付けて、無事に完成です。

ここを通る方々からは、『あそこでは、何を作業していたんだ?』くらいに、黒子的存在が成功だと考えます。

歩行者のためにも、オーナー様のためにも。