かつての【瓦】のイメージを払拭するかのように、数十年前からこのようなデザイン瓦がたくさん発売されましたが、
今回の台風で困ったのは、同じ商品が廃版になっていた点。
屋根頂上の棟瓦も飛んで行ってしまった。
ここまで多数の瓦が、剥がれ落ちてしまったのは、強風というよりも、建築時の施工会社(今は存在しない)の施工不良によるところが多い。
こういう時に、建築屋の果たさなければいけない責務を痛感いたします。決して、他人ごとではない。
今回の台風で、被害が多かったのか、廃版ながらも、平瓦は、今回、再生産して下さったので、助かりました。
(棟瓦は、似た形状のもので対応)
が、本来、瓦屋根といえば、棟瓦の拭き直し、平瓦のメンテナンスを行っていけば、かなり長い期間、屋根を維持していくことが可能な点が、【瓦】の凄い所。
しかし、このように新型のものは、消えていく運命にあるので、さらに先の将来を心配してしまうのです。
棟瓦は、とめ方が、釘2本のみの仕様だったので、仕方なく、コーキングを併用して取付け。
平瓦も、コーキングを併用し、さらに釘の本数が足りなかったので、多めに打込んでおきました。
外れかけた瓦も、すべて再取付け。
瓦の落下とともに、いくつかの雪止め金物が曲がっていたので、形状を整え直して再取付け。
【瓦】は、阪神淡路大震災後に、屋根部が瓦だと、重心が重く、建物が振られやすいということで、軽量瓦、スレート屋根(コロニアル)にとって代わられ、新築では、かなりシェアを下げてしまいましたが、
ちゃんとした建物は、瓦の重量を計算した上で計画されています。実際に、新潟県などの凍害にあう地域では、コロニアルは先ず採用されません。
また、軽量瓦は、セメント系が多く、劣化が早く、中には10年以内に雨漏りを誘発する商品も多く出荷され、こちらも被害を受けました。
勾配が緩いところでも使えると、CMでもどしどし宣伝されたセキスイのかわらUは、高い割に、ヒビは入るは、塗装がロットによっては剥離するわで、セキスイも最初は丁寧に対応してくれましたが、10数年も過ぎた頃には、それも無くなり、逆に金属系の新型瓦を薦められ、『馬鹿にするな!』と思ったことが何度も。そのために、謝ってもらったことはありませんが、私のお客様の多くに、どれほど頭を下げたことか。
建築を通じて思うのは、新しい商品は、先ず疑え! です。大抵は、消えてなくなっていきます。
建築資材メーカーのいう『従来比』、『キャッチコピー』の真実、その裏に潜んでいる可能性のある弱点を、残念ながら うがった目で、我々建設会社は付き合わなければならない。制振ダンパーのKYB、川金の例が、最近の良い例です。当然、良いものもあります。
瓦でいえば、何と言っても三州瓦。この名称で売れば安心が付いてくる感があります。
さらに、関東ではあまり有名ではありませんが、淡路瓦は、きめ細やかで美しいです。
もう一度、古きものをさらに進化(深化)させている地道な建築資材を、見直した方が良さそうですね。
また、そのような商品があれば、ご教授のほど宜しくお願い致します。