この樹木さんは、殿墓へ向かうブロック塀を、根の力で、いとも簡単に破壊していました。
この生ある木を、生かしてあげたかったのですが、【根】自体が、境界から越境していたため、さらに、通行する方に万が一のことがあってはならいため、土留めを直す前に、まずは幹・枝を落としていただくことに。
『今日は、その道のプロを呼びましたから』
「高木に登って、クレーンで吊るし切りされる空師さんですか?」
『いいえ、人力で、枝を落としていくんですよ。こういう重機が入らない現場では、彼でないと』
そうこうしているうちに、さっさと梯子を登っています。
素早く、太いロープと滑車を、枝の高いところにくくり付け、
外構屋さんと私は、驚きながら作業に釘付け。
小さなチェーンソーなのに、手際よく、サクサク伐っていきます。
伐り始めてから、2、3分後には、
『あっ、危ない!』
大丈夫でした。落ちる方向にロープの支点を取っていたので、本人に当たることなく、シッカリと上部からつるされています。
『すごいね。見た? Sちゃん』
「見ました。重機無しで凄いですね」
聞きまくったところ、数十分の一の力で、100㎏弱ある、この枝をほぼ力を使うことなく、地面に下ろしてしまいました。
『ロッククライマー、今流行りのボルダリングみたいですね』
「いえ、これの資格もあって、ツリークライマーと言うんですよ。
これは、そのための道具の一部です。
家に帰ってから、早速【ツリークライマー】とググってみたところ、
ありました。
《ツリークライミング®ジャパン・Tree Climbing ® Japan》
この植木屋さんは、心から樹木・自然が大好きで、話しをしていると、とても面白い。
それぞれの、小さな夢が、案外と近いベクトルにあり、嬉しかった。やはり、自然に敬意を抱きつつも、自然に抱かれたいという人間がいました。案外と、身近に。
一定の大きさの樹木を根元から伐る際には、樹木の命をいただくことの儀式として、塩・米・酒で、お清めされています。私も同じです。