横浜市における屋根材の選定に関して

横浜市では、比較的温暖な地域なため、化粧スレート屋根材(ブランド名として、コロニアル、カラーベストなどの名称で親しまれています)が主流です。

それは、いつ来るかわからない首都直下地震、南海トラフ地震等、巨大地震による被害を軽減するため、このような軽量瓦がいつの間にか、それが主流となっています。

これは、とあるメーカー(今は化粧スレート屋根部門から撤退)の商品の10年後の姿。

様々な住宅で、このような劣化、時には落下が伴い、建設業界では、かなり問題視されました。


一方で、これは20数年前の化粧スレート屋根材。

ちょうど今、工事中ですが、こちらは塗装替えで済みます。

その差は、飛散すると極めて人体に悪い影響を及ぼすアスベストの含有量が高いため、逆に屋根材自体の強度が高いのも事実です。
(現在悪者扱いされているアスベストですが、当時は防火性能・耐水性能・強度等に優れた性能を発揮するため、とても多用された時期がありました)

こちらは、平坦な化粧スレート材ではつまらない方用に、凹凸を大きくして、焼き瓦のようなデザインで、20年ほど前に流行したモニエル瓦。いずれもセメント系のものをオートクレーブしたもので、冬場の寒い時期に水分が凍結して、割れたり破損するケースが多発して、中には雨漏りを誘発してしまう商品も多くありました。対候性も低かった。
(現在のこのようなデザインのものは強固に改良されていますが)

ここは、今回破損した箇所を肉付けし、補強修理し、塗膜で固めますが。

こちらの化粧スレート屋根材は、高圧洗浄すると、塗装と滑り止めの砂が全て流れ落ちてしまいましたが、重ね張りが可能な範囲だったため(アスベストの含有量が多く、逆に丈夫だった)、タジマルーフィングのタディスセルフ(金属製屋根を重ね張りする際に、極めて施工性が高い)を、防水紙として使用してから、

金属製屋根材に。
(その代わり、今現在は埋め立て処分しか方法のないアスベスト入り化粧スレート屋根材自体は、この状態では悪さはしませんが、いつしかアスベストの革命的処理方法が確立されるまでは、高額な処分費の先送り状態)

地震時に、瓦本体の重さゆえに、悪者扱いされて、横浜地区では絶滅危惧状態の本瓦(日本瓦)ですが、この建物は、江戸中期のもので、瓦は明治以降からで、関東大震災にも耐えて今に至っています。

ちなみに、かつて日本海側の建設会社に勤めた時期がありましたが、その地区では、化粧スレート屋根は、凍害による危険が高いため、メーカー自体がそれを許さず、昔ながらの伝統の日本瓦か、トタン屋根(ガルバリウム鋼板屋根)が主流です。

こちらも、日本瓦が載っていますが、関東大震災を乗り越えています。柱・梁の大きさが、圧倒的に違います。

元々の設計規格が違います。
さらに、日本海側のある地域も、降雪量が計算されていて、横浜地区の構造体よりもより頑強に作られています。

その土地、気候に合わせた屋根材選びと、構造体の強度に余裕を持たせた設計が大切だと考えます。

さらに、今は【地球温暖化】と言われている中、【プチ氷河期の到来】も、まことしやかに囁かれています。地球史的には、後者の流れになりつつあると考えられます。

それらを踏まえて、金属製屋根、日本瓦だったりの選択肢を見直す必要性があると考えます。
化粧スレート屋根は、初期投資が安く済むので、採用されやすいですが、将来的に何かしらの形で、大きなメンテナンスが伴うか、使い切り的な割り切りの覚悟もしておいた方が良いと思います。

我々は、これまでの経験値から、それらのメリット・デメリット等を、お客様に伝えていかなければならないでしょう。