40年近く頑張られた畳。
今はフローリング全盛の時代。ベッド生活ならフローリングの方が、良いと考える一方、
私は小さい頃から、16.5帖分の畳の部屋で過ごしたため、フローリングの良さを解りつつ、畳の部屋のありがたみを知っています。
畳の上に布団を敷いて寝ると、気持ち良い。
就寝中に大量に発汗するので、たまに陰干しし、朝起きれば、押入れに布団を畳んで入れるので、寝るとき以外は大空間。
畳は、発した汗を、吸収してくれ、昼間に吐き出してくれる。つまり調湿効果抜群の塊です。
さらに良い点として、冬場は断熱効果が高く(旧住宅金融公庫法でも1階の床下の断熱材、畳の場所は要らない)、夏場は涼しい。そして、素足でもベタベタしない。
忘れてならないのは、防音効果。
上の階で誰かが歩いていると、一般の住宅では、よほど防音に配慮した設計(建築当初)でないと、『コツン、コツン』と、下階へ音が伝わる。下の階でも、上の階のどの辺りを歩いているか分かってしまう。その点、畳だと音を適度に吸収してくれるので、プライバシーを守りやすく、お互いにストレスが少ない。
そして一番は、踏み心地。
足の関節に厳しいのは、下地がコンクリートの土間。
立ち仕事、特に理美容業界では、コンクリートのビル内で仕事をされている方は、関節からダメになりやすい。
よって、木製床にあえてしている所も多い。
ましてや、素足で歩く日本の住宅内においては、自然素材に直接触れつつ、適度な弾力で足腰の関節を守ってくれるという特典が付いてきます。
一方で、ワラ床、い草をそれなりの物にしないと、虫が涌いたり、残留農薬が含まれていたり、逆効果。
写真の奥側が、古い畳。(リサイクルされるのでご安心下さい)
かつては、畳表の『裏返し』、『表替え』等、畳を長持ちさせるために、定期的なメンテナンスが当たり前でしたが、今はそのまま使い切ってしまうケースが多いので、私は畳を取り替えることをお薦めしています。
かつて、耐震的に不利とされた瓦の良さが見直されつつありますが、瓦屋さんを継ぐ若者をあまり見ない。しかし、瓦屋根の家は未だに多い。
同様に、畳職人さんになる若者も少ない。
畳が見直されると仮定して、その時に畳を作れる(その家・部屋ごとに、全て寸法が違い、畳職人の腕が試される)人が、どれだけ残っているのか。
ロングテールの法則通り、畳は日本の文化から決して絶滅はしない。
一方で、畳職人さん不足になるのは明白。
つまり、年老いた職人さんが引退したあとの、近い将来、引く手あまたになると思われます。