【ウッドショック】日本の林業、復活へのシナリオ

現在、建築業界・職人さん方の間で、【ウッドショック】の話で持ち切りです。

住宅を建築する際に、木材費(ベニヤ等を含む)が総建築費に占める割合は、10%~20%と言われています。
そうした中で、4月7日現在で、木材の値段が、2割ほど上がっているようです。
今後、どうなるかと言えば、ここ1年は上がり続けるのではないかという話も出ており、既に木材価格が2倍になっているという話や、もうじき3倍になるのでは、という話も聞こえてきます。
(その真実は、分かりかねますが)

今年に建築を計画している方、施工している建設会社・工務店には、大変な時期だと考えます。
値上がりし続ければ、工事途中で、工事価格の追加を施主様にお願いしないと、借入れしながらそのお金で、工事を続けている会社としては、かなりの打撃です。
同時に、施主様も読めない値上がりと、材木不足による工期延長とのダブルの懸念材料が襲い掛かってきます。
(着工戸数が多く、サプライチェーンの繋がりが大きい大手ハウスメーカーや、木材確保ルートを確立している建築会社では、この危機を乗り越えると同時に、その後にライバルが淘汰されて、利益確保しやすいというメリットもあります)


ウッドショックの原因は、様々に書かれていますが、
アメリカを筆頭に、中国その他の国の、低金利政策での貸し出し増加による、住宅産業が世界的に好景気なため、かつては安かった外材が、国産材価格を上回り、さらに世界的に材木不足という点が大きいようです。

また、コロナ禍により、コンテナ船の船員の検査体制の強化により、港への横付け待ちが増えた点、それによる稼働している船不足、それによる物流価格の高騰。

世界中で、木材の奪い合いが過熱する中で、結果として外国産材の値段が高騰しているようです。


暗い話ですが、世界の動きがそうである以上、どうにもならない部分が大きい。

そのような中で、少しは明るい夢を語りたい。

1960年代頃までは、国産材の自給率はほぼ100%。
その後、ウルグアイラウンドなどの外圧により、圧倒的に安かった外国産材が、国産材を駆逐していきました。
少し前までは、国産材率、約16%まで落ちこみました。
そして、日本の国土の3分の2を占める山林の【荒廃】も同時に進みました。

それにより、多くの山林が放棄され、伐採時期を迎えている木々が取り残され、山林従事者が極端に減り、それを囲う製材業者の数も軒並み減り続けました。
間伐さえしてもらえない山は、細い木々が密集し、剪定もされていないため、市場に出しづらい木材に。
さらに、集中豪雨となれば、山林の保水機能の低下により、がけ崩れが頻繁に。伐採した木材を運搬する山道も荒れ果てて、改めてそこからの整備を必要とする山が増えました。

よくユーチューブや、各地の林業のHPを見ていると、首都圏・都市部から移住して、日本の気候に合っている国産材を護ろうとする方々が増えてきたな~という感覚を持っていました。

今回の【ウッドショック】により、日本国内の山林業は大忙し、さらには材木価格の適正化により、山林従事者の賃金アップも見込まれます。
山林伐採を続けてきたドイツの伐採・加工マシンの導入も進んでいます。(日本製も頑張って!)

それらのお陰か、国産材の占める割合は、36%~37%に復活したと言われています。
しかし、日本の山林の底力は、まだまだ余裕があります。
外国産材でも良いものもあるので、国産材自給率95%程度まで復活すると、山を持つ地方の活性化、一極集中化し過ぎた人口の分散化、適正樹齢での伐採によるCO2の固定化率がさらに上がることが期待されます。

さらに、国産材は高温多湿、風雨・雪にも耐えて育っているため、成長は遅いながら、密度の高い材料を提供してくれます。
日本のお米、果樹などは、海外で高い評価を得ています。
日本の材木も、同様に高い評価を得られるはずなので、高額での輸出の可能性を十分に秘めています。

自給自足への道と、外貨を稼ぐチャンスでもあると考えています。

頑張れ!日本の農林水産業、そして高いノウハウを誇る建設業。