建築で、一番値上がり幅が大きいのは、材木・ベニヤなどの木材を使用したもの。
いわゆる【ウッドショック】は、小麦粉やガソリン等の比にならないぐらい高騰中。
ここ2年くらいの間に、2倍~2.5倍。
コロナ禍による海上コンテナの高額化、海外産の材料の生産の遅れ、原油高から来る運搬代、早い段階で経済的立ち直りをした国々との、競争の過熱化。国産材をないがしろにしてきた分、それへのシフトも、森林業に従事する方、事業所数の縮小により、それを補充するだけのインフラが整わず、国産材も世間相場に合わせて高騰。
木材をふんだんに使う新築物件では、建築費の1割~2割アップは、その他の部材の高騰も重なり、仕方ない状況に。
ウォシュレット等の半導体が使われている商品も、3ヶ月~5か月待ち(少し動き出して来ましたが9。
そして、メーカーにより差がありますが、こうした水廻り商品も、4月1日から値上げ、またウクライナ情勢を見ているメーカーは、このあと、定価の値上げ幅を決定してくる予定です。
撤去材・梱包材も含めた処分費は、ずっと上がり続けています。この先も、アスベストに関して厳しい法律が施行されるため、右肩上がりで高止まりはしないと考えられます。
来年10月からの、法律の厳格化により、我々がお客様へ提出する見積書ですら、見積り代が、それなりに必要とならざるを得ない見込み。
(これまでは、マスコミの薦めで、相見積もりして比較すべきとされてきましたが、状況は一気に変わり、見積り依頼する会社が増えるたびに、その分、見積り代を請求される可能性が高くなります。先ずは実際に施工する職人さんが著しく少なくなってきているので、まともな工事をしている業者さんは仕事に溢れてきている為、相見積もりと言われた時点で、積極的に見積りしてくれなくなり始めています)
一番売れている重ね張り用屋根材も、既に8枚入りから6枚入りにクラスター値上がり済み。
今後も目が離せない。
雨樋も、3月1日に一気に値上がりしたので、その前に多現場を発注して価格の転嫁を防いできました。
これも、また上がるでしょう。石油化学製品なので。
そして、これまで最低限の値上げで頑張ってきた塗料メーカーも、関西ペイントは既に値上がっており、5月頃にさらに値上げ予定。表面に使う水性塗料だけでも、30%程度上がるものも。日本ペイントももおうじき値上げします。
シンナー類などは、報告されているもので、最大45%の値上げも。
そして、今後下がる見込みが立たない。
塗料だけでなく、こうした養生材、マスカー、マスキングテープ、ほぼ使い捨てのローラー、コーキング材等も、すべて石油化学製品なので、値上がり中です。
そうした最中に、当社では、便乗値上げはしませんが、上がった原価は、見積りにONせざるを得ない。
そのためのお客様に対する防衛策として、値上がり前に、発注を済ませておくことです。
煽るような営業をしない当社なので、無理強いしていませんが、そういう材料の値上げ情報には敏感で、ちゃんとお客様にアナウンスしています。
こうした先が見えない時代に、損をしない手法は【素早い決断力】です。
日頃ジックリと熟考される方(悪く言えば、優柔不断の方)は、建築(リフォームも含む)という行為が元々高額な上に、値上がり幅が、テレビで言われている日常品の値上がり幅よりも大きいため、折角、日々倹約に勤めていても、余計な出費額が大きいので、工事をするか、止めるか、そして、やるならば素早い発注が大きな金額の差を生むことは、間違いないでしょう。
余談ですが、何故、建築は値上げ幅が大きいのか?
私の憶測ですが、建材メーカー、住宅設備メーカー、建築関連メーカーは、今後の建築市場の大幅縮小を念頭に置いているのだと考えます。
少子高齢化、消費者の所得の伸び悩みから来る、市場のパイが縮小するという未来像は容易に想像できます。
そこで、彼等も頭が良いので、生産ラインを拡大せずに、むしろ縮小していく準備をジワジワと進めているものと考えます。
そして、生き残りのための M$A対策をも念頭に入れて、合併する際に同じようなラインが沢山あっても無駄になるため、その無駄が最小限に、そして、【多様性】と言われる時代ながらも、売れない商品の生産終了、多様化に溢れていた商品の合理化という名の整理を着々と進めているのでは と、考えます。
その証拠として、カタログによく書かれだしています。
この商品は、【受注生産品】です。 受注から発送まで、実稼働〇〇日間と。
合理化・効率化は寂しい気がする一方で、【多様化】への対応=コスト高。
一方で、修繕・リフォームがメインな我々(お客様)には、この流れは大きなメリットでもあります。大量生産・各社の規格統一による在庫管理品の効率化・長い期間の部品供給体制、何より高額化を避けられるといった点です。
これまで、多種多様な商品戦略に突き進んできましたが、時代に逆行する流れに思えても、国内市場の安定と海外市場への進出に弾みがつくのでは。
クルマに置き換えると分かりやすいのですが、かつて大衆車と呼ばれていた、日産サニーや、トヨタカローラは、偉いんですよね。
古くなっても、市場に球数が沢山溢れていたおかげで、部品供給も長かったし、解体屋へいけば部品を安価に獲得できた。
スポーティーなクルマで偉いのは、AE86と呼ばれるカローラ・レビン、スプリンター・トレノなどは、大量に売れ、しかもレース用の改造パーツもふんだんに安価に作られて溢れかえっていた。
スポーツカーではないけれど、とても素直な動きで、操り甲斐があり、整備性の良い【AE86】がとても愛しいですが、あまのじゃくな私は、それを敢えて所有しなかったため、マイナーな車種で頑張り、自分好みに作り込んでいく下地(市場)が少なかったため、口にはしなかったけれど、実は羨ましかった。
そういう意味で、沢山売れて、ロングセラーな建材は、それだけで、AE86のように、優秀なものとして後々まで有難がられるのだと考えます。
要は発想の転換です。