長持ちするフローリング重ね張り

フローリングの重ね張りは、既存のフローリングを撤去して新しい物を貼る場合に比べて、圧倒的に安価で済み、施工期間も短縮できますが、

30年ほど前から、フローリングの重ね張り後の悩みを抱えていました。(創業時までは)

その悩みは、
➡重ね張りしたばかりは、綺麗でお客様も喜んで下さるのですが、
① 時間の経過とともに、床がたわんでくる。(沈む感じ)
② 時間の経過とともに、床鳴りしてくる。(うぐいす張り。ダメ版)

① 時間の経過とともに、床がたわんでくる。(沈む感じ)

に関しては、使っている材料(フローリング材)の選定を間違っていた点でした。

天然木の突板(基材のベニヤ合板に天然木を張ったもの)フローリングは、一般的なMDFにシート張りが多い中、決して安価ではありませんが、湿気に強く、水に強い。

さらには、そうした天然木の突板フローリング材の中でも、【重ね張り】に採用して、長持ちしやすいものは、数ある中でも非常に数が限られている事を理解しました。

この事実を知った時は、目からウロコでした。
サラリーマン時代、50人、150人、500人規模の会社に在籍しながらも、それを知っている人は居ませんでした。

そこそこ規模が大きい会社だから安心という訳ではない事を、思い知らされました。

それまでは、お客様の後々の事を考えると、重ね張りに尻込みしながら対応していた自分が嘘のように、自信を持ってお薦めしています。

段差解消法も様々。

こちらのお宅では、2階の重ね張りと同じ納まりに。(ちょっとしたスロープ採用)

部屋ごとに、段差解消法が違うと、慣れるまでに時間が掛かるのと、場合によっては、段差は段差として、認識して身体で覚えていただき、敢えて、足を上げるという感覚の方が転倒による怪我を抑える効果が高い。

② 時間の経過とともに、床鳴りしてくる。
は、

いきなり重ね張りをするのではなく、ひと手間掛かりますが、既存フローリングを半ねじのコースレッド(木ねじ)で、既存根太にしっかりと押さえていくことです。

既存の根太が悪いことは、滅多にありません。
逆に、既存の根太と既存のフローリング材とが、ちゃんと固定されておらず、【浮き】が生じている事による、床鳴りを起こしている点に注目する必要があります。

② 時間の経過とともに、床鳴りしてくる。のもう一つの原因として、

既存のフローリングと、新規フローリングとの間のボンドによるものです。

木工用ボンドにも種類がありますが、一般的に使用されているものでは、時間の経過でボンド(接着剤)自体が痩せてきて、フローリングどうしの一部が剥離し、その接着面がかえって、床鳴りの原因を起こしている場合があります。

フローリング同様に、接着剤も選ばないといけないようです。

さらには、張り方にも注意が必要です。

一般的なフローリング材は、幅が303㎜のものが多いですが、そのサネ部(合わせ部)を、隙間なく張ってもダメだし、離れすぎても良くない。経験値からくる適度な隙間が必要です。

フローリング材は基本的に木質系で、有機系材料で生き物のため、季節により、湿度により、伸びたり縮んだりします。その差により、床鳴りが生じやすい。

重ね張りだけでなく、捨て貼り工法(下地に合板を入れた工法・現在の新築のほとんどはコレ)でも、床暖房、無垢材フローリングの際には、その伸縮幅が極端に大きいため、材料選定と、材料間の隙間の度合いが床鳴り防ぎには、とても重要になってきます。

フローリングの重ね張りだけでも、ウンチクがあるので、大工工事を筆頭に、水道、電気、クロス、塗装、板金、コンクリート、その他多種にわたる工種それぞれに、うんちくがあり、それらをトータルにバランスよく組み合わせていくのは、案外と頭を使う点が多く、それ故に我々の存在意義があるのかと考えます。

そして、その道は一生かけても、最後まで納得のいくものを作れないのかなと。ずっと勉強し続けないといけないようです。