防火破風板、ケイカル板で作成された、サイディング外壁。
在来軸組みで立派な建築をされていた某大手NOホームさんの施工物件でも、時間の経過とともに、つなぎ目が隙間だらけでした。
放っておくと、雨漏り・雨染みにより、建物の耐久年数が落ちるため、足場がある塗装替え時に、隅々までチェックしてコーキングしていきます。(建物全体における部材ごとの意味合いを理解しているので、安いだけの塗装屋さんとは一線を画します)
軒裏まで、比較的大きな隙間がありました。
できれば、新築時に、軒裏の防火板が破風板に隠れるように施工して欲しかった。
切妻ケラバ頂上部の合わせ目は、板金が惜しい施工で、内部の野地板(ベニヤ)まで見えていたので、ここも直しました。
屋根の高圧洗浄時に、珍しいのですが、マスキングした差し棟の4ヶ所が、浮き上がっていて、高圧洗浄時に吹き飛ばされないように、注意してもらい、
当然、今後の強風に耐えるように、修正しておきました。
写真右上の差し棟板金が、コロニアルの破損と共に、いつでも飛んでいってしまう状況でした。しかも3階の大屋根で、より風が強いので、この直しは必須でした。
防火化粧板も至るところ割れていました。
建築後の木材の ねじれ、反り、地震の影響等により、構造体の歪みにより、割れてしまう現実が多いです。
この霧除け屋根、一見問題ないのですが、たわまないように、軒先近くで、屋根上からビスで脳天打ちして、そのままだったため、シールで雨水が入らないようにしてから、塗装。
一昔前の、板金によるベランダ笠木を、上部から脳天打ちしている物件をよく見かけますが、お客様は知らぬが仏で、鉄骨造の場合だと、下部スラブのデッキプレートの厚みのある鉄板を錆びさせて、鉄がほぼ無くなり、土のようにボロボロに天井裏に落ちていたりします。
建築屋に仕事を流す不動産管理会社に多いのですが、そうした意味合い自体を知らないでオーナー様に、気が付かないうちに将来的な負担を強いているケースが、たまに見受けられます。不動産屋さんも、ある程度、建築的な知識を持っているか、所詮、下請けとみている建築屋のアドバイスも聞ける謙虚さが無いと、長続きしないなと思う時があります。損失を被るのはオーナー様なので。
その一方で、こうした水切りがある箇所はコーキングをしないか、水が抜ける箇所を作っておきます。
水が溜まって、窯業系サイディング本体が、長年の間にグズグズになっていきます。
このような水切り上部で、サイディングの表面塗装の剥離、本体の剥離がある建物が案外と多いのも事実です。
塗装替えによるものもありますが、そもそも新築時に、サイディング内部の透湿防水シート(商品名でいうとタイベック)と水切りの納めが逆になっているケースによるものです。
木造住宅でも、1万点のパーツがあり、それぞれの役割がありますが、経験値の少ない代理人、本当に正解の施工を知らない職人さんが、案外といるのも悲しい現実です。すべてを把握するのは、確かに難しいと思います。お客様は、【安い】【早い】【上手い】を求めますが、それらを経験値の少ない監督や職人に求めるのは、簡単では無いと思います。
サイディングの目地は打ち替え(既存を除去して)が基本ですが、サッシ廻りは、既存コーキングの幅が狭く打ち替えしにくいので、幅広で増し打ちするケースが多いです。
霧除け上部は、上のサイディングからの水が流れ出す箇所でもあるので、一部だけシールして、水の逃げ道を確保しておきます。
換気扇のベントキャップ周囲も。
先行して、屋根は綺麗に仕上がりました。
ただ、ひと手間かけて。
棟板金を止めている釘が、少し浮きはじめていたので、頭部にシールをして。
(夏場になると、暑さで鉄製の釘が伸びて、貫から外れていきます。涼しくなる夜間になっても、釘は元の位置には戻りません)
コーキングを打ったあと、あまり時間をおかず、マスキングテープを剥がしていきます。
シーリング作業は一見簡単に見えますが、コーキングを打つ量、マスキング部の厚み、テープの剥がし方と、熟練の腕(センス)が必要です。