塗装替えで、『綺麗になった』は当たり前。
塗料の選定・下地作り・塗料を塗る量・適正な作業工程・細かい箇所への配慮・雨水の抜け道の確保・コーキングの打ち替え時の配慮・劣化速度を遅らせる配慮等々、お世話になっていた会社での営業時代に、お客様目線で、不満に思っていた項目を、すべて見直し、日々進化していく手法を勉強し、お客様同時に、こちら側も納得できる施工を心がけています。
塗装前。
屋根塗装前。
元々、『近所で工事をしている者ですが、お宅の屋根の板金が、取れかかっています。先ず登らせて下さい』と、よくある飛び込み営業の人が来られて、お客様が、知らない人を自分の家の屋根に上らせたくない との理由から、当社へ連絡上があり、
その日のうちに、屋根の状態を確認。
(登らずに、屋根を撮影する手段を使って)
コロニアルゆえに、ある程度劣化はしていましたが、板金で取れかかっている箇所は見つからず。釘の飛び出しも無かった。
(飛び込みの9割程度は、こんな感じのところが多い)
『そろそろ塗装替え、お願いするか』で、始まった工事。
足場を掛けて、高圧洗浄してみたら、サイディングがボロボロの箇所あり。
このまま塗装しても、ボロボロ剥離するのは直らない旨・見積金額を伝えて、急遽、張り替えることに。
サイディングを剥がしてみたら、下地合板、内部木材の一部が、赤アリか、シロアリに食われていました。
補強・交換して、消毒して、サイディングの裏を水が流れやすように工夫して、新しいサイディングを、縁切りできる箇所で、最小限に張り替え。
この建物は、通気胴縁がなく、釘打ちサイディングと、裏側下地の透湿防水シートの間に、水が流れる隙間がないため、密着しやすく、水も逃げにくく、サイディングの裏側から、水が染み込んでいくのを防ぐため、エポキシ樹脂塗料を先行して塗っておきます。
その間、塗装屋さんには、屋根の塗装に専念してもらいました。(中塗り後)
高圧洗浄してみると、コロニアル屋根材は、覆っていた汚れやコケが剥離し、こうした『ひび割れ』『角の欠損』等が見えてきます。
こうした部分はコーキングで塞ぎ、飛散しにくいようにします。
※ニチハのパミールという商品は残念ながら、直しきれないので、事前に重ね葺きをお薦めし、100%ノンアスベストになったばかりの商品も、本体は厚く変更されましたが、ひび割れ・クラックが激しく、塗り替えをお薦めできないケースがあります。かわらUも。
塗り替えた後、エアコンの冷媒管の保護テープが、写真のようにボロボロの際は、そこが目立つようになってしまうので、巻き直します。(程度・量にもよりますが)
汚れやすいところは、滑りにくい養生材で、保護します。
昇降階段が無く、下屋を通る回数が多いところも、養生します。
テレビ関連の塗らない箇所も、養生。
エアコンの室外機も、エアコンを使用しながら、液だれの付着を防止するため、カバーをかけます。
破風板を下塗りしたあとで、申し訳なかったのですが、木材の劣化により、凹み、隙間が空いている所を、塗装屋さんと相談の上、コーキングで凹みを直すことに。
(パテだと、剥離する可能性があるため)
バルコニーのFRP防水は、まだやり替え、トップコートの時期では無かった点と、足場が無くても単独で作業できるので、洗浄以外しない代わりに、養生して保護。
塗装屋さんによって、FRP防水、ウレタン防水の得意不得意があるので、その都度、業者さんは選択させてもらっています。
長尺塩ビシート防水・タキシート、防水の量が多い時には、別に、防水屋さんに依頼します。トータルで品質のレベル・お客様が支払う金額のコスパが良い方法を考えています。
お客様が、『釘が抜けかかっていますよ』と、塗装替え後に言われないために、板金の釘部分は、抜けにくいようにコーキング。
※下地が木製の場合は、夏の昼間時、板金(鉄製)が伸びてしまい、釘が耐えられなくなると、たわんだ板金と共に、一部抜けかけてきます。夕方以降、一気に冷え込むと、板金が縮み、元の状態に戻りますが、釘は元には戻らないため、抜けかけたようになります。棟板金では、それを防止する意味で、木製の貫(ぬき)ではなく、樹脂製の製品を使う会社が増えてきています。
雨樋(縦樋・排ドヨ)は、できるかぎり外して、塗装してから(こちらでは、一般的にはウレタン塗料を使用しますが、シリコン塗料を採用)、もとに戻します。
サイディング目地間の、コーキングの打ち替えをしっかり出来るようにする意図もあります。
コーキングを打ち替えるための、マスキング養生にも手間をかけます。
こちらは、ボンドブレーカーが残っていたため、そのままコーキングします。(両サイドにプライマーを塗って)
ごくまれに、ボンドブレーカーが無いケースがありますが、その際は、新たに張ります。なぜなら、建築の基本である、3面接着をさせない為です。3面が接着されると、地震等の揺れ時・収縮劣化時に、くっついておいて欲しいサイディングの両端の何れか、或いは両方が剥離してしまい、塗膜ごと、亀裂が入ってしまう為。すぐに問題にはなりませんが、雨水が入りやすくなるため、内部の透湿防水シートで、排水を受け持ちきれないと、下地木部に水が回ってしまい、結果、アリさんの住みやすい場所を提供することになったり、腐朽菌により腐ってしまう恐れがあり得ます。
残念ながら、温暖化も手伝ってか、こうした被害が見えない所で、進行しているケースを多々目にしています。
塗装前。
シールが剥離している様。
釘打ちしてある部分が、シールに引っ張られて割れたのかは不明ですが、何かしらの影響はありますです。
打ち換えたコーキング。
当然、塗料が乗りやすく、剥離しにくい変成シリコンコーキングで。
エアコン屋さんは、プライマーを必要としない手軽なシリコンコーキングを塗っていかれるので、それを除去して、やり替えます。
また、数種類使用していますが、外壁の下地により、使うコーキングの種類はさらに細分化され、さらに、メーカーにより、塗料が綺麗に付着してくれない商品もあるので、注意が必要です。
ロックペイントのサビカットⅡは、鉄部はもちろん、木部等の下地材等、幅広く使用できます。
こうした破風板(鼻隠し)にも。
屋根の塗料は、遮熱型塗料、水谷ペイントの快適サーモWSI 。
他のものも使用してみましたが、遮熱型では、このメーカーのものが、塗った際に、塗料が弾きにくく、密着性がよいです。
ここ最近、外壁に多用しているのは、
関西ペイントのダイナミックトップです。
これは、最初に塗り、下地を整え、吸い込みを防ぎ、塗料との密着性も良くなる、専用フィラー(他メーカーでは、シーラーと呼んでいます)
右側の黄色い缶が、中塗り・上塗りで使用するダイナミックトップ。
分子レベルで、分離しにくい(チョーキングしにくい)、ラジカル制御型塗料で、なおかつ、長持ちしやすいシリコン塗料です。
既定の厚みが付けやすく、塗装後の深みと、光沢感がキープされます。
当社では、3分艶、5分艶と、マット調が流行っている今日、そうした調合もご希望に沿っています。
日本ペイントのパーフェクトトップ(ラジカル盛業型)は、当社でも早くから使用し、現在一番売れている商品だと思いますが、少し残念なのは、アクリル系のため、少し持ちがダイナミックトップの方が上な感じがします。
一時期、断熱系塗料として有名になった、粘度の高い(粘り気のある)塗料がありますが、メーカー推奨量まで塗り切るのは、かなり難儀するようで、推奨通りに、サイディングに塗った際は、サイディング柄によっては、解りにくくなる程度まで塗らないと、本来の性能を発揮できないようです。塗料メーカーがちゃんと施工しているか、たまに見回りにくるようです。
最近は、断熱塗料として謳っているメーカーが少なくなったのも、頷けるような気がします。
塗装も、ただローラーで塗るだけでなく、入角部・塗装しにくい箇所等は、先行してダメ込みしています。
ダメ込みシーンの動画は、こちらから。
今回、雨戸・戸袋、雨樋、破風板等の木部も、シリコン塗料を使用しているため、艶があり、今後の褪色も遅くなります。
とかく、外壁に目が行きがちですが、それ以外の箇所の劣化の方が早いケースが多く、結果塗装替えの時期が早まりがちです。
材料代は違いますが、手間費に比べると、僅かなアップで、コストパフォーマンスの高い塗装替えとなります。